2023年11月17日金曜日

リッソン ギャラリー安永正臣展

ロンドンのリッソン ギャラリーと言えば、1960年代にオノヨーコのパフォーマンスアートの舞台となった著名なギャラリーです。



キノコの秋 水彩画

安永正臣氏に触発されて描いた水彩画



同ギャラリーで開催されることになった日本人陶芸家
安永正臣展「Clouds in the Distance 」
オープニングイベントを訪れました。



安永正臣 作品

伊賀に工房を構える安永氏は
大学時代に前衛陶芸集団「走泥社」の星野悟氏に薫陶を受けられ

陶芸と芸術の境界を超える作品を生み出されています。

安永正臣 陶芸作品


ごつごつとした小石や
ガラスのかけら、金属
岩が散りばめられた

火山の噴火や惑星、
海底を彷彿とさせる
荒々しさと神秘性を帯びた作品たち。


安永正臣展

同ギャラリーのプレスリリースによると

形作られた作品は
砂とカオリンの中に埋められ
高温度で焼かれるそうです。

燃え盛る火にくべられた
素材は色も形も豹変し

焼きあがった後
埋められた砂から作品を取り出す作業は
遺跡の発掘作業にも通ずるものがあるそうです。



安永正臣展

安永氏本人と少しお話しする機会がありました。

作品を生み出すことに生涯をかけてきたような
純粋さを感じさせる方でした。

安永 正臣氏

安永 正臣氏


お話の中で一番印象に残っている言葉は

「制作過程で作品が自分から離れてしまって
距離を置くことが自分にとって心地よい」
とおっしゃっていたことです。

個展のタイトルにもそういったお気持ちが
反映されていますし

安永正臣展

一度作品がとてつもない高温で焼きあげられると

私が印象を受けた
惑星や海底、火山噴火などに通ずる

予測のできない
身近な環境からかけ離れたものに生まれ変わる。

火葬や火事など
人間の生活に重要でありながら
大きな災害をもたらす要因としても恐れられる火。

執着心を捨て火の力に作品をゆだね
自然のパワーに身を任せる。

距離を置く哲学、考えさせられました。

物事を自分のコントロール下に収めたい
自己主張が軸になっている
西洋社会で長年生きてきましたが

安永正臣展にて

この展覧会を通して
そういった我を捨てる
物事に距離を置いて眺めてみるといった考え方が

ロンドン社会で焦点が当たったらよいな
と思いました。

余談ですが、リッソン ギャラリーは本館と別館に分かれていて
安永正臣展は別館の方で開催中です。

通常二人の違うアーティストが
各館で同日から開催するのですが
先に本館を訪れた際、閉館されていました。

珍しいな、と思っていたら

本館で開催される予定だった
中国の活動家、アーティスト艾未未の個展が

イスラエル パレスチナ情勢に関するSNS投稿が原因で
ギャラリー側とアーティスト側が話し合った結果

無期延期になったとマスコミに報道されていました。

現在こちらのニュースの方に注目が集まりがちなので


なおさらこの素晴らしい安永氏の個展に
ぜひ注目していただきたいです。





最後に、水彩画の題材にもなった
森林で撮ったキノコアルバム


イギリスのきのこ



イギリスのキノコ



イギリスのキノコ



イギリスのキノコ



イギリスのキノコ


イギリスのキノコ
































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