2023年1月21日土曜日

フロイト展で賛否両論のエリザベス女王の肖像画鑑賞

ロンドン、ナショナルギャラリーでルシアン フロイト展を訪ねてきました。


心理学者のジークムント・フロイトを祖父に持った
ルシアン フロイト
同じ画家の作品とは思えないほど
画風が豹変しています。

ルシアン フロイド 模写
2002年に描かれた88歳の時の自画像を模写。
一般的に知られているフロイト氏の画風は
この後期の厚ぼったく絵の具を塗り重ねた
荒々しいタッチのスタイル。

ルシアン フロイド 自画像
1946年に描かれた自画像。
後期の画風と比較すると全てが対照的。

この時期から既に成功していましたが
このころは一般人も知っているというよりは
アート業界で知られているといった存在。

薄く溶いた油絵の具で
表面もつるっとフラットな質感を保ちつつ
綿密に描き込んで
ナチュラルではなく様式化した画風。

ルシアン フロイド自画像

1960年代に描かれたこの自画像は
正に初期と後期の作品の中間をいく画風。
顔のタッチに
盟友の画家、フランシス ベーコンの影響が見られます。
見下ろすようなアングルも面白い。


フランシス ベーコン 裸婦画
フロイト氏の有名な作品の一環は
この後期のぼてぼてっとした裸婦を
ぼてぼてっとした絵の具で
荒々しく、生々しく描いたものです。

この無骨そうに見えて計算されているような
ところがあるのと

大きなサイズで何点も存在していて
精神的な入れ込みが感じられないので

個人的に好みではありません💦

エリザベス女王 肖像画
2002年に描かれたエリザベス女王の肖像画。

もうこのころには超大御所画家だったので
宮殿に通って何日も女王がモデルとして座ってくださったそうです。

完成、公開当初は

批評家や一般人から

「どこのおばちゃん?」
「女王が飼ってる犬に似てる」

とかなり辛辣な批評を浴びたようです。

一方

「本来の王室肖像画のように女王を神格化、美化せず一人の人間として描いた傑作」

という人もいて…

これがサイズの大きい肖像画だと
たぶんドン引きしていたと思いますが
実際にはとても小さなサイズで

絵から出ているオーラは暖かく
親密感のある作品です。

ちなみに完成作品を贈与されたエリザベス女王は
「喜ばれていた」そうですが…

デビッド ホックニー 肖像画
大好きな画家、デビッド ホックニーを描いた肖像画。


ルシアンフロイド 絵
個人的に一番良いと思った絵は
やはり画風が変わる中間点の1960年代に描かれたこの作品。
リアリズムと女性の仕草で感情が伝わってくるよう。

ルシアンフロイド 絵
これは更にさかのぼって1950年代の作品ですが
繊細でルネッサンス絵画を彷彿とさせる作品。
写真に反映されていませんが
瞼にうっすら浮き出た細かい血管も繊細に描かれています。










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