ここ数年に読んで気に入った本で、ロシアが舞台になっているものが何冊かあります。
最近古本屋さんで購入したお気に入りの本
"Six Curtains for Stroganova"
たぶん絶版本ですが
ペンギンブックスのレトロな装丁がよい。
新潮文庫の古いバージョンで
中に薄紙が挟まってて
付箋代わりの紐がついていたのも好きでした。
ここで取り上げた本
ヒヤシンス
コーヒーポットの静物画
著者は英国人で
1940年代に出版されました。
帝政ロシアの地方都市オムスクで
赤字の冴えないバレエ団を経営する
資産家の子息、ストロガノフと結婚し
プリマバレリーナに収まったナターシャの
更なる野望は
花のサンクトペテルブルクで
スターバレリーナになって
6回カーテンコールを受けること。
観客が延々拍手喝采させられる
カーテンコール6回なんて
抜きんでた伝説バレリーナでないと無理?
私が働いてる劇場でも6回なんて有り得ないわー。
ナターシャが夫を説得して
いけてない地方バレエ団が
なんとかサンクトで公演する道を開くコメディです。
資金作りのためにストロガノフが
連れてきたスポンサーが
自分の愛人をプリマにしないと
資金提供しないとだだをこねるのですが
美貌だけが売り物で
バレエの技術がお話にならない愛人。
なんとか愛人を舞台に立たせないようにと
ストロガノフが「幕開けに乾杯!」
と楽屋に睡眠薬の入ったシャンパンを持ち込むなど
かなり笑えます。
静物画を描いていたキッチン
コロナが収まって海外旅行ができるようになったら
最初に訪れたいと思っていたロシア。
素晴らしい文学や音楽、バレエなど
数えきれないアーティストを生み出した国なのに
一握り(っていうかもしかして一人?)の
人間の決断で国民を洗脳して、巻き込んで
国際社会から孤立してしまい
大戦や核戦争を避けるには軍事介入もできないし
停戦、和解という言葉を待ち望んでニュースを読む毎日。
この小説の題名 "Six Curtains for Stroganova"
英語でカーテンという言葉は
幕が下りる、終わりを告げるという比喩で
よく用いられます。
It's curtains for this government. この政権ももうおしまいですね。
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