2023年7月13日木曜日

ナショナルギャラリーで隠れた印象派傑作を堪能

ロンドン  ナショナルギャラリーの展覧会「印象派以降 モダンアートの誕生」を訪れました。

Sono Scott 作品

この展覧会の焦点
対象物を忠実に再現する段階から進化しているが
抽象画のような具現から離れる間の段階
色や形を自由にあやつる画家たちにインスパイアされて描いた作品


見どころは

まず貴重なゴッホの個人蔵作品が勢ぞろい。

他にも有名どころの巨匠
セザンヌ、ゴーギャン、ドガ、ロートレックから
ボナール、ムンク、ピカソ、クリムト、マチスの

普段なかなか見られない個人蔵作品や
各画家のトレードマークとなった題材とは異なる
一風変わった作品がみられることです。

それではみていきましょう!


ゴッホ 女性 肖像画
ゴッホ作 アルルのカフェのマダムの肖像画。

これは本人をみて描いたのではなく

当時共同生活がうまくいかなくなり
関係がこじれたゴーギャンが残していった
マダムを描いた筆画をみて描いたと言われています。

確かにフラットで単純化されたスタイルは
ゴーギャンの影響を受けています。

単純化されていても
エッセンスを抑えているのはさすが!

ゴッホ 冬の景色
ゴッホ作ですが
これも景色を直接見て描いたのではなく
他の画家が作成した版画を参考にして描いたと言われています

ゴッホで冬の風景画はあまり見ないですよね。


ゴッホ 畑の景色
生前に画家として成功することのなかったゴッホは
絵の中の懸命に働く農民を
自分自身に見立てて描いたと言われています。


ゴッホ 田舎の景色
真夏から夏の終わりを思わせる色調。

この絵は戦前にノルウェー人が購入し
ノルウェーに持ち帰りましたが

アート業界は「ゴッホに似せて描かれた作品」
と相手にしなかったそうです。

納得いかなかった持ち主が

アムステルダムにある
ゴッホ美術館に鑑定を依頼したところ
本物であることが発覚

すぐさまオークションにかけられ
別のコレクターがものすごい値段で落札したそうです。
(現在も個人蔵)


ドガ 読書する裸婦
ドガのパステル画
後ろの壁紙や
ソファーにかけられた布地の
色がとっても美しい✨


セザンヌ夫人 肖像画
この展覧会のテーマは

いかに印象派以降
対象物を忠実に再現する習慣から
画家本人の感情やスタイルを追求する動きに
進化していく過程を探ることですが

そういった動きのパイオニアとなるのは
セザンヌでしょう。

セザンヌは肖像画の人物に
何時間も何日もポーズをとらせて
何度も絵に修正をかけたことでしられていますが

奥さんの肖像画
うんざり度が顔の表情にあらわていると😂

椅子の背もたれを
背景に見えるほかの長方形の物体にあわせて
もっと四角形さを強調し

背景の四角形だけが画面に並行なのに
他のものがすべて右下にずれ下がっているような遠近感が
独特の雰囲気を生み出しています。

これが絵が下手くそでそうなったんじゃなくて
スタイルとしてみせるのが難しいんですよねー💦


ゴーギャン 海景色画
ゴーギャンの海の絵
うねる波しぶきは浮世絵の影響を受けているとか。
赤いビーチっていうのが斬新!
二人の人間が
黒のウェットスーツを着たサーファーにみえるのは
私だけでしょうか?


ゴーギャン ブドウ摘み
同じくゴーギャン作で
ワイン用のブドウ狩りだそうです。
中央の女性の顔は
ペルーのミイラがモデルになっているそう。

ゴーギャンの有名な作品はタヒチが舞台になったものが多いですが
シュールな作品も素晴らしい!

ボナール 赤子と若き母親
ボナール作
若いお母さんが
やんちゃに動き回る赤ちゃんを
膝の上であやす様子が微笑ましい。

ボナール 室内画
同じくボナール作
薄暗い室内にランプだけがぼんやりと
浮き上がっている。

植物の影のシルエットなど
ポイントを押さえて強調した構図が見事!


ロートレック 近所の女性肖像画
ロートレックといえば
キャバレーやダンスホールなど
パリの夜の世界を描くので有名ですが
これは近所の娘さんをモデルにした肖像画。

裕福な家庭に育ったロートレックもそうですが
ドガやセザンヌ、ゴーギャンなど皆裕福な家庭の出身である背景に

画風に妥協したり
お金のために興味のない人の肖像画を描いたりしなくてよい
という利点があります。


ピカソ 評論家の肖像画
ピカソがスペインでまだ具象画を描いていた頃の作品。
かなりお世話になったアバンギャルドを支持する批評家の肖像画。

バットマンのジョーカーのような
マスクのような化粧を施したかのような形相。

私がこの人だったら軽く激怒かも。



クリムト 女性肖像画
なかなかお目にかかれない
美しいクリムトの作品を見てため息。


マチス 風景画

フォービスムの一員の中でも
マチスが突出して世界で成功したのは理解できます。

他のフォービズム画家の色調が原色で
かなりどぎつい癖のある画風であるのに対し

マチスは色彩感覚、構図ともにどれも
おっしゃれー!


マチス 室内画
最後にご覧になる作品が
私が最もこの展覧会で気に入った作品。

マチスの娘さんが読書にふけっている室内画ですが

カラフルな色彩の組み合わせの美しいこと!

色が踊っているという表現を使いたい♫

具象画が進化して抽象画になる前くらいの
この時代がとても好きで
自分もこういう絵が描きたいと
勉強になった展覧会でした!

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